「何が」ではなく「なぜ」を、「歴史用語の多さ」ではなく「その関係性」を大切に。

@フランス、イタリア、神聖ローマ帝国の形成と、今日のヨーロッパ @フランス、イタリア、神聖ローマ帝国の形成と、今日のヨーロッパ

フランク王国の分裂

 フランク王国はヨーロッパに最初に成立した統一国家だったため、一見、その体制はしっかりしているように思えた。

 

 しかしフランク王国は事実上、カール大帝と地方の長官である“伯”との個人的なつながりにより、成り立っていた

 

 こうした事情は、歴史初期の(アジア的)国家によく見られるものである。

 

 そのためフランク王国は、カールの死後に内紛が起こり、843 年の〈ヴェルダン条約〉、および 870 年の〈メルセン条約〉により王国は三分割された。

 

 その結果、9 世紀後半にはそれぞれ、東フランク王国西フランク王国イタリア王国となった。

 

 東フランク王国は、後のドイツであり、西フランク王国は同様に後のフランス、およびイタリア王国は現在のイタリアである。

 

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メルセン条約後のフランク王国
借用元 http://tabisuru-c.com/travel/germany_201205/germany_history/germany1.htm

西フランク王国

 西フランク王国では王権は振るわず、他の諸侯が乱立する分裂状態に陥った。

 

 しかし 13 世紀ごろには、ライバルであるイギリスを破り、ローマ教皇に対しても上位に立ち、〈フランス〉として統一王国が成立した。

神聖ローマ帝国

 ところが後にドイツとなる西フランク王国と、現在のイタリアであるイタリア王国は、この分裂状態が 19 世紀まで続くこととなる

 

 まず西フランク王国であるが、こちらは 962 年に王であるオットー 1 世が、ローマ教皇より「ローマ皇帝」として承認された。

 

 「ローマ皇帝」とは、476 年に消滅した、〈西ローマ帝国〉の後継者であるという意味だ。

 

 これが〈神聖ローマ帝国〉の起こりである。

 

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オットー 1 世
借用元 http://www.geocities.jp/rom_deutsch/romreich.html

 

 だが神聖ローマ帝国にとってはローマ教皇と関係をもったことが、自国の分裂状態を長引かせることとなる

 

 神聖ローマ帝国の歴代皇帝は、イタリアを積極的に自国へ編成しようと試みた。

 

 これを〈イタリア政策〉という。

 

 その結果、国内の統治はおろそかとなり、神聖ローマ帝国内には中世末期の時点で 300以上もの小国が存在する、〈領邦国家〉となった。

 

 また神聖ローマ帝国は中世をつうじ、ローマ教皇庁に搾取されたため、「ローマの牝牛」とも呼ばれた。

 

 しかしこの状況は結果的に、16 世紀における〈宗教改革〉からの、教皇に対する反逆の伏線となる。

イタリア王国

 またイタリア王国も、複数の要因により久しく分離状態に置かれることとなった。

 

 その原因とは、神聖ローマ帝国の〈イタリア政策〉や、イスラム勢力の侵入、および国内における自由都市の成立などであある。

 

 そうしたわけでイタリア王国は、中世をつうじ信仰の中心地である〈教皇領〉が存在するにもかかわらず、政治的には不安定であった。

 

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現在のローマ教皇庁 バチカン市国
借用元 http://www.geocities.jp/eurokimamaclub/k-051201.htm

フランク王国分裂が意味するもの

 では、フランク王国が以上のように三分割されたということは、後世、および現代から見て、どういう意味があるのだろうか?

 

 まず第一点は、フランク王国の領土が現在、われわれが知るところのフランスドイツイタリアとして成立したことである。

 

 これらの国々は中世、近代をつうじ、それぞれの国民性や地域性を育んでいくこととなる。

 

 またもう一点、重要なことであるが、この事件なんと 20 世紀における第二次世界大戦にもつながっているのである

 

 一般に第二次世界大戦における対立の構図とは、素早く近代化をなした国々(連合国)と、近代化が遅れた国々(枢軸国)との植民地をめぐる抗争であった。

 

 この場合、枢軸国とは、ドイツイタリア、および日本を指す。

 

 そして枢軸国が植民地獲得に出遅れた背景には国内の統一に時間がかかったからということが挙げられる。

 

 連合国の代表であるイギリスやフランスなどは、17 世紀には国王が君臨する絶対主義体制を、ほぼ確立させていた。

 

 一方、枢軸国の国々、ドイツ、イタリア、日本が国内を一統したのは、いずれも 19 世紀後半である。

 

 よってドイツ、イタリア、日本が海外へ進出を試みたとき、世界にはすでに残された地は、ほとんどなかったのである。

 

 第二次大戦には、こうした背景もあるのだ。

 

 しかしドイツ、イタリアは、そのように物質的な近代化に立ち遅れた分多くの精神文化を生んだともいえる。

 

 まずドイツでは 16 世紀に宗教改革が起こり、また近代には、当時の学問における王様ともいえる〈ドイツ観念論〉という哲学を生んだ。

 

 くわえてイタリアには、14 世紀後半に〈ルネサンス〉が興った。

 

 ついでながらわが国・日本でも、江戸時代中期より、「日本という国は、どうあるべきか」を考察する〈国学〉という学問が生まれている。

 

 これは現実の社会体制が“近代”にほど遠いものであるからこそ、“近代”にふさわしい理念を追求した結果である

 

 このように社会思想とは、抑圧された者たちが“自由”を求め、生み出すものともいえる。

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管理人 水無川 流也