「何が」ではなく「なぜ」を、「歴史用語の多さ」ではなく「その関係性」を大切に。

古代@ 人類の誕生 サルからヒトへ

◯もっとも強い者が生き残るのではなく、もっとも賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。−ダーウィン

樹から下りたサル

 いまから500万年ほど前、アフリカで最初の二足歩行するサルが現れた。これが現在の人類における、直接の先祖である。

 

 もちろんサルとは樹上生活をする生物であるので、これは樹から下りてきたものだ。動物とは無意味な行動はしないし、また進化とは生き物が棲息する環境に合わせて整えられる。

 

 この事実から確かなことは、一部のサルが地上に降り立ったのには、二つの理由しか考えられないことである。

 

 第一はなんらかの理由により、樹上にいられなくなったか。またもう一点が、地上生活がサルにとって、樹の上における暮らしより都合のいいものであったという点だ

 

 その動物であるサルがなぜ、知性をもつ人間へと進化し、歴史を築いたのか。このヒントは、地に下りたサルがもつ二つの特徴から考えられる。

 

まずサル類とは、集団での共同生活をするものである。よって、当時のサルは間違いなく現在のわれわれが生きている社会の原型ともいうべき、共同体をつくっていたであろう。

 

 もう一点は、そのようなサルは通常の樹上サルとは食餌の内容が異なるところである。まず野生のサルは、木の葉や木の実などを主食とする。

 

 一方で地上のサルは、雑食である。樹上サルが食べないような肉も摂る。この点から言えるのは、以下のことである。

 

 地上に下りたサルは、大地という環境に適応するために、地にあるものを食べ物とせざるをえなかったということだ

 

 またその食糧を得るため、集団での共同活を営んでいたということである。

 

 さらには食べるものが変わったため、人類とサルは決定的に異なる生物となったのかもしれない。

 

@人類の誕生 サルからヒトへ
原始人の共同生活 イメージ
借用元 http://ニキビを治す方法・効く薬.com/%E6%80%9D%E6%98%A5%E6%9C%9F%E3%83%8B%E3%82%AD%E3%83%93%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0-%E7%94%B7%E5%AD%90-%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3-241

 

サルにおける“本能”からの離脱−仮説

 ところで人間と他の動物を隔てるものに、“本能”の存在がある。動物は本能にしたがっていれば、生きていける。

 

 たとえば野生のクマを見ればいい。クマは本能にしたがってシャケなどのエサを捕り、食糧のなくなる冬になれば自然と冬眠する。

 

 ところが人間は「本能を失ったサル」である。人間はクマと違い、“自然”ではなく“社会”のなかで“知性”にもとづいて行動する。

 

 ではなぜ人間は、本能を喪失する代償に知性を獲得できたのか? 以下はその仮説である。

 

 まず獲物を獲得するための共同生活が、他の動物のそれにくらべ、圧倒的に複雑で不規則なものだったからだ。

 

 またもう一点は、人間といいう生き物は肉体的には他の生物よりもはるかに弱いからである。

 

 たとえばオオカミも集団生活を営む動物であるが、ハンティングの仕方はいたってシンプルだ。

 

 まず獲物に狙いを定めたら、その生物の強さはどのくらいか、いざ襲ったときに逃げられることはないか、見積を立てる。

 

 その際、大丈夫だと判断したら、集団で襲撃を実行する。これだけである。ただハンティングの対象により、戦法が異なるが…。

 

 ところが“猿人”の場合は、こうはいかない。

 

 なにしろイノシシにせよマンモスにせよ、獲物は肉体的には自分たちよりはるかに強いのだ。

 

 よって、仕留めるにあたり道具を使う。また獲物を狩るにせよ、オオカミのようにいっせいに襲いかかるというわけにはいかない。

 

 自分たちより強く大きい動物を相手にするのだから、コトは慎重かつ計画的に運ばなければならない。

 

 落とし穴をつくる、敵を驚かすなど、役割分担があったことだろう。さらに道具をつくり、こうした計画を立てるという行為自体、もはや本能では追いつかない。

 

 これには本能を超えた、自律的な思考が必要となる。

 

 また、そんな知能の発達した者同士が仲間として共同生活をしなければならないのだ

 

 動物の“群れ”とは比較にならない、“社会性”という新たな知性が必要とされるであろう。

 

 さらにつけ加えるならば、武器をもたないヒトが自然界にあっては極度に弱いのは、原因ではなく結果であろう。

 

 たとえば人間の成人男性の平均体重が 70 キロとしよう。

 

 これは他の動物みれば、大人のオオカミ、子供のライオンやヒョウ、ゴリラ、あるい中型のツキノワグマくらいである。

 

 このどれに対しても、素手で一対一で戦えば、ヒトは絶対に勝てない。

 

 この驚異的な肉体的弱さは、ヒトが“知性”、“社会性”という「武器」をすでに身につけた結果、そのひ弱な身体でも生きていけるようになった。

 

 そのためそれ以上は進化する必然性がなかった、あるいはそれにより退化したしたためとも考えられる。

 

 こうした点からサルは本能を捨て、知性を獲得せざるをえなかったのだ。このようにして“人類”は誕生した。

 

@人類の誕生 サルからヒトへ
 猿人からヒトへの進化像

宗教の起源

 ところで人類には、宗教をもたない民族は存在しない。もちろん人類の歴史的段階において、宗教の質はそれぞれ違う。

 

 しかしどのような未開人であろうと、かならず「アニミズム=原始宗教」をもっている。

 

 太陽や星、水や火といった自然物に人格をもたせ、それを“”とみなす。そして自分たちのまわりで発生するあらゆる自然現象を、神のおこないと位置づける。

 

 さらにその神たちが、いかに天地や人間を創ったかという“神話”をもつ。その民族の歴史を、すべてその神話から説明するのだ。

 

 もちろん信仰の具体的な内容は、各民族によって異なる。しかし初期の人類は、かならず宗教をもたずにはいられなかったという点で、共通している。

 

 では、宗教とはいったい、何なのだろうか?

 

 端的に述べるならば、これは“本能”の代替物である。より正確に述べるならば、人類は“知性”をもつために、本能を捨てざるをえなかった。宗教とはそうしてできた「精神のすき間」を埋めるものである。

 

 本能とはいわば、自動プログラムである。動物は本能にしたがってさえいれば生きていける代わりに、“自由意思”をもたない。

 

 動物は自分の行動を、自分の意思で律することができないのだ。

 

 ところが人類は、高度な知性をもってしまった。知性とはゼロの段階から、自分の行動を計画立て自らプログラムできる実力である。

 

 すべての生物のなかで人間だけが、“明日”のことを考え、「明日、自分は何をするか」と思考することができる。

 

しかしこの「ゼロからプログラミングできる能力」とは、諸刃の剣である。

 

 なぜなら自分の身のまわりのものすべてが、「考える対象」となってしまうからである。

 

 これが動物であれば、どんなものであれ機能的に「感じる」のみである。たとえば野生のライオンは、太陽が昇れば「暖かい」、雨が降れば「冷たい」と感得し、もっと日に当たろう、雨を避けようと判断し、行動するだけだ。

 

 ところが知性をもってしまった人類は、「なぜ太陽は暖かいのか?」、「なぜ雨は降るのか?」と、無限の“なぜ”に襲われることとなる。

 

 この“なぜ”を解決しないことには、恐ろしくて生きていけない。

 

 というのは、この“なぜ”という感情は、動物にとっては「警戒のための恐怖」にあたるからだ。

 

 たとえばライオンは、一瞬でも火花に触れると怯え、警戒する。これは“火”が危険なものだということを、本能で知っているからである。

 

 しかしライオンが用心するのは、身に危険が迫っているときだけだ。

 

 ライオンは太陽や雨まで危ない存在でないことは、本能により知悉している。

 

 しかしながら人間には、本能がない。だから太陽や雨が何であるかを、自分の知性で埋めなければならなくなる。太陽や雨を避けて、生きていくことはできないからだ。

 

 ところがこれは、何万年もむかしのことである。当然のこととして、当時の人類は〈万有引力の法則〉も〈地動説〉も〈進化論〉も、知っているはずがない。

 

 つまり人類は、自然については正しい情報などもっていなかった。すなわち「わからない」のである。

 

 だが、わからない」ままだと生きてはいけない。

 

 そこでどうするか? 解答は、「わからないものを、わかったつもりにすること」である。

 

 そうして人類は、当時の知性直観でできる精一杯の解釈を、自然にあたえることになる。

 

 「太陽とは人間の生贄を受け取ることにより、神さまが上げている」。

 

 「雨とは、大蛇が降らしている」等である。

 

このように人類は、あらゆる自然物から人間の存在、世界の由来を「でっち上げた」。

 

これが宗教の起源である。

 

 またどのような宗教であれ、教義に根本的な疑念を抱くことは、どの共同体でも絶対のタブーである。
 

 

 その理由は教理に破綻が見つかれば、その宗教自体、成立しなくなる。よってその教えを信じている共同体自体が、立ち行かなくなるからである

 

 また言うまでもなくその共同体の掟は、その集団がもつ宗教の原理でできている。

 

 ちなみにこの共同体と宗教、および掟(規範、法律)の関係は、どの歴史的段階のものでも変わらない。

 

 たとえば西洋では、ずっとキリスト教と『聖書』にもとづいた社会運営がなされた。
 ところが現実にはそうではなく、じつは抜け道があったのだが、このことは〈宗教改革〉の章でくわしく述べる。

 

 このような狩猟段階を経て、共同体を整備し、人類は歴史を築いていくこととなる。

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管理人 水無川 流也