「何が」ではなく「なぜ」を、「歴史用語の多さ」ではなく「その関係性」を大切に。

S弥生文明の成立が、日本に稲作、疫病、戦争をもたらした S弥生文明の成立が、日本に稲作、疫病、戦争をもたらした

稲作の伝来

 このページでは、わが国に稲作が伝わったことによる影響、およびその結果、生まれたものについて述べる。

 

 前述したように、稲の栽培自体は、3,000 年ほど前から本格化した弥生時代とは一般に、その稲作が日本に定着した時代を指す。

 

S弥生文明の成立が、日本に稲作、疫病、戦争をもたらした
稲作伝来の正規ルート
借用元 http://gogolesson.jugem.jp/?day=20101210

 

 ここで、前のページにおける冒頭の言葉である。

 

 まず歴史的に見れば、狩猟採集民の縄文人たちは結果として、農耕民たちに駆逐されることとなる

 

 それがはっきりとなるのは、紀元 646 年に起こった〈大化の改新〉以降である。

 

 その後、縄文人たちは山、もしくは海へ追いやられ、そこで生計を立てざるを得なくなった。

 

 職業のあり方としては、猟師、木こり、鍛冶屋、鉱夫、漁師、修験者、また変わったところでは、忍者や芸人などである。

 

 またそうした職につく者たちは、後の時代には「平地の民=農民」とは明確に一線を画した賤業として、差別の対象となる。

 

 そんな縄文人たちであるが、彼らは当初、日本にやって来る渡来人たちを、簡単に受け入れたのであろうか?

 

 これはそのとおりに、受容したのである。

 

 なぜならまず、縄文人たちは農耕をまったくしなかったわけではない。

 

 三内丸山遺跡などを見ればわかるが、縄文人たちはすでにクリやヒエなどを栽培していた。

 

 ならば外部からイネの栽培法が伝わったなら、逆にこれを拒絶する理由がない。

 

 というのはまず第一点として、縄文晩期(3,000年ほど前)には、日本の寒冷化が始まっていた。

 

 よって採れる食糧が減っていたため、縄文人にとっては稲作の渡来は渡りに船であった。

 

 また、コメとはデンプン質が多い高カロリー食品であり、精製(脱穀)しなければ栄養価も高い。

 

 そうした理由で、稲作文化はイネの栽培に適した西日本から広がっていった。

 

 かつ西日本の縄文人たちは、積極的に稲作を受け入れたため、渡来人たちと混血し、結果としてそのまま弥生人となっていった

 

 しかしそうした縄文人たちの行動が、最終的には縄文文明を滅ぼすこととなる。

 

S弥生文明の成立が、日本に稲作、疫病、戦争をもたらした
左が縄文人顔で、右が弥生人顔
借用元 http://sekainorekishi.main.jp/img/20-28.jpg

 

 この点は、大西洋を超えてやって来た西洋人を受け入れた、アメリカ・インディアンの運命に似ている。

 

 まず渡来人たちは、稲作とともに疫病も運んできた。これにより、病気に対する免疫をもたない縄文人たちの多くは死んだ

 

 さらに弥生人たちはイネの品種改良をおこない、寒い土地でもイネを育てられるようにしたため、弥生文化圏はますます日本中に広がった

 

 結局、縄文文化は、縄文時代においては当文化の先進地域であった東北・北海道地方にのみ、残されることとなった。

弥生時代の到来

 こうして弥生時代は、始まった。さらにそこから身分社会の成立や、大規模な戦争の開始となった。

 

 だがこの点は、世界中で農耕が本格化したときと、まったくおなじで、日本だけ例外なわけではない

 

 ここは「A農耕、牧畜、言語の起源-文明の必然的産物は、どのように生まれたか」のページにおける、「農耕・牧畜の起こり」の章をを参考にしていただきたい。

 

 やがて弥生時代は、いくつもの国に分かれ、戦争が絶えないようになった。

 

 また戦争が激化した理由のひとつは、弥生時代には鉄をはじめとする金属が、農機具同様に武器にも使用されることになったからである。

 

 中国・後漢の光武帝が西暦 57 年に〈倭国〉に金印を送ったとされるのも、邪馬台国卑弥呼が魏の国から使者をむかえたとされるのも、そんな時代である。

 

 日本(倭国)は一時、後漢の冊封体制に入り、後漢の朝貢国となったが、これは倭国・後漢、両者にとっても得な選択であった。

 

 なぜなら、倭国は日本国内に存在する、多くの対立国に対して、「後漢」という強い後ろ盾を誇示できる。

 

また後漢にしても、自国の衛星国は多いほど、自らの権威がつよく立つことになるからである。

 

 くわえて邪馬台国と魏の関係も、同様である。

 

 中国は当時、三国時代であり、魏はライバル国である蜀や呉に対し、海の向こうに強力な仲間が存在することをアピールしたい。

 

 および邪馬台国もまた、魏が自国の味方になってくれれば、他国へのニラミが効く。

 

 そうしたわけで、魏の使者が邪馬台国を訪問したときに著したという『魏志倭人伝』が、内容に整合性がないのは、当然である。

 

 魏にとってみれば、『魏志倭人伝』を読んだ敵国の要人が、邪馬台国を過大に恐れてくれるほど、有り難いからである。

 

 なたばその記述も、たとえ事実をもとに書かれたとはいえ、誇大なものになるであろう。

 

 また弥生時代の戦乱状態は、この後、大和朝廷が成立するまで続くこととなる

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管理人 水無川 流也