「何が」ではなく「なぜ」を、「歴史用語の多さ」ではなく「その関係性」を大切に。

B「世界の一体化」-大航海時代の結果がもたらしたものは? B「世界の一体化」-大航海時代の結果がもたらしたものは?

現代社会における基盤としての、「世界の一体化」

 〈大航海時代〉とは一般に、15 世紀から 17 世紀初頭にかけてのヨーロッパ諸国による海外進出活動を指す。

 

 これはおもに、ポルトガル、スペインが主導しておこなわれたものだ。

 

 この活動の結果、生じたものは数多く存在するが、そのなかでも現代にまで決定的な影響力をもつものとは、「世界の一体化」である。

 

 「世界の一体化」とは、人類がはじめて、地球上のあらゆる地域に足を踏み入れたため、人間が「世界全体」という概念を把握できたという意味だ。

 

 それまでの歴史においても、広大な地域を征服しえた民族や国家は多数、存在した。

 

 それはたとえば、古代マケドニアにおけるアレクサンダー大王の帝国や、中世末期に出現したモンゴル人による大帝国などが、これに該当する。

 

 ところがこうした国々は、短期間において崩壊し、また「地球全体」を支配したわけではない。

 

 これとは対照的に、大航海時代〉の結果として現出した「世界の一体化」は、現代にまで続いており、またこれは、地球のすべてを網羅している

 

 こうした観点をもとに、この「世界の一体化」がもつ意味を、述べていく。

「世界の一体化」についての概要

 大航海時代の到来とともに「世界の一体化」という現象が発生した

 

 これは端的には、ヨーロッパにおける価値観や、政治、経済、社会等の制度が地球規模で拡大したということである。

 

 まずヨーロッパにおける貿易の中心は、地中海から大西洋へと移った。

 

 これにより、ヨーロッパ諸国は遠隔地貿易が可能となった。

 

 これを〈商業革命〉と呼ぶ。

 

 このように、ヨーロッパにおける市場が世界全体に拡がったため、当時のヨーロッパで生まれ始めた〈資本主義〉が、世界の普遍的な経済体制となっていったのだ。

 

 また商業革命により、西欧諸国は工業が盛んになっていったので、東欧諸国がこれに替わり農業を担当するようになった

 

 東欧はもともと、中世末期にドイツ人たちが、植民活動をおこなっていた地域である。

 

 よって商業革命の結果、東欧で生産された農作物が西欧に輸出されるという構図ができた。

 

 また東欧地域は、近世の時点においても専制君主ツァーリ)により支配されていたため、〈農奴〉に対する搾取が、中世の時点よりひどくおこなわれるようになった。

「世界の一体化」が、ヨーロッパ人にあたえた価値観

 さて、そのように「世界が一つのもの」という概念が生じれば、それは西洋人に対し、どのように作用したのであろうか?

 

 これは、政治・経済の分野においては、以下のようである。

 

 

 

 まず世界とは、中世に考えられていたように、無限の広がりをもつものではなくむしろ「一つ」であるかぎり、有限である。ならば当然に、世界に存在する領土や富や資源も、限られている。そうであるならば、自分がそれらを人より早く獲得しなければ他者に遅れをとってしまうでは一刻も早く、世界侵略へ向かわなければ

 

 

 

 近世以降におけるヨーロッパ諸国の人々は、こう考えた。

 

 そしてそれは、絶対主義から帝国主義の時代にかけて本格化する、西洋諸国による植民地の収奪合戦へと展開していくことになるのだ。

「世界の一体化」がもたらした、観念上の作用

 ところで上記のような認識作用は、「政治や経済」という、個人の外部における事象である。

 

 では、「世界の一体化」は、「個々人の観念」という、人間の内部に対しては、どのような理解をもたらしたのであろうか?

 

 それは、下記である。

 

 

 

 世界とは結局、一つのものであるならば、われわれが行けないところも、獲得できないものも、何もない。ならばこれは、われわれの自然や社会や精神についての理解にもおなじことが言えるのではないか? 中世をつうじわれわれは、あらゆる自然現象や社会の出来事を、「神の思し召し」と認識していた。しかしそれらは、もしかしたら、われわれの認識理性で把握することができるのではないか? なにしろ中世には、われわれ人間が想像もつかないと思っていた「地の果て」など存在せず、地球とは一つの球体にすぎなかったのだ。つまりわれわれは、「地球の全体像」をすでに知っている。ならばわれわれは、自然や社会についても、自分たちの認識能力経験すべては理解が可能ではないのか?

 

 

 

 こうした観念が、ヨーロッパにおいては、近代哲学、科学へと浸透していった

 

 その結果、近世・近代において哲学、科学はおおいに発展し、現在では宇宙の根源までも、探求が可能なものとなっていったのである。

冷戦時代まで続く、〈商業革命〉の構図

 言うまでもなく〈商業革命〉は、現代の地球規模における資本主義にまで成長した。

 

 およびもう一点、商業革命が直近の世界にまで作用したものは、西欧と東欧の政治・経済の体制そのものである。

 

 これは、近世・近代・現代の東西冷戦期へと、切れ目なくつながったあり方だ。

 

 もちろん、冷戦時代においては、東欧から西欧へ農作物が輸出されるということは、ほとんどなかった。

 

 しかし西欧においては、商業革命以降ずっと第二次産業、第三次産業が現代まで発展していった

 

 一方における東欧であるが、こちらは中世から変わらず、ツァーリ(専制君主)により農奴が支配を受ける図式は、ずっと続いた

 

 20 世紀において、東欧諸国はほとんどが共産化されたが、その内実は中世と変わらずアジア的、専制的なものであった。

 

 つまりは、20 世紀における東欧諸国の実情は、中世の国王が共産党と名を変えただけのものだった、ということである。

 

B「世界の一体化」-大航海時代の結果がもたらしたものは?
冷戦期の、西欧と東欧のあり方
借用元 http://matome.naver.jp/odai/2140089063117484701

 

 ヨーロッパの歴史とは、内的発展にもとづいたものであるが、その国家間の関係性は、そのように何百年と変わっていないものも多いのだ。

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管理人 水無川 流也