
◯歴史とは、それが当代の証拠によって支持されないかぎり、ロマンスである。−サミュエル・ジョンソン
現在、歴史に関する情報は、web 上でも書店でもあふれている。日本史、世界史を問わずである。
それほどまでに歴史の見聞が氾濫しているということは、当然それを求める人たちが多いということである。
このことは単に趣味や学校の勉強で歴史を学ぶ人もいようが、同様に仕事や人生の指針として、歴史のなかにヒントを求める者たちも多くいることを意味する。
あるいはあらゆる学問の基礎として、歴史の習得が必要な場合もあるだろう。
では、あふれんばかりに存在する歴史の書物やサイトは、はたしてそうした人たちの需要に応ええるものであろうか?
残念ながら、そうとばかりは言い切れない。もちろん、書店でロングセラーとして何十年も売れている歴史書もあれば、大学や高校の受験に役立つ HP も多くある。
しかしそれ以上に、われわれが入手しえる大多数の歴史についての情報には、「すべてがあると同時に、何もない」のだ。
たとえば〈フランス革命〉がどのような原因で発生し、その結果、フランスやヨーロッパはどうなったか。昨今ではこうした経緯は、高校の歴史教科書にすら懇切にわかりやすく説かれている。
書店で売られている参考書や入門書には、それ以上にくわしくかつ、とっつきやすく述べられているだろう。
ところで歴史を学ぶにあたり、こうした個別的な事象を理解するのは、戦争でたとえるなら個々の戦闘に勝つための方法論、“戦術”にあたる。
ところがもっと大局的な視野で、つまり“戦略的立場”から、人類の歴史全体を見渡すプロセスを描いた書物やサイトは、きわめてまれである。
言い換えれば戦争を例にとると、「個々の戦闘で勝つための方法論」は、腐るほど存在する。
にもかかわらず、「なぜその戦争を闘わねばならないのか」。「その戦争に勝つことにより、何が得られるのか」といった考察は、あまりなされていないのだ。
これを太平洋戦争に例えると、〈ミッドウェイ海戦〉についてはくわしく知ることができる。けれども〈ミッドウェイ海戦〉の、太平洋戦争全体のなかにおける位置づけがわからない、というに等しい。
この点を当サイトにおける本題の歴史観でいえば、以下の視点がおおいに欠落しているということだ。
「なぜ21世紀の現代に生きるわれわれが、“歴史”という何千年もの時間的・空間的プロセスを顧みなければならないのか」。
あるいは「個々の歴史的事象、たとえば〈ルネサンス〉とは、現在のわれわれ、および人類の歴史全体から見て、どのような意味があるのか」である。
こうした根源的な問いかけに答えてくれる人やデータは、きわめて少ないのが現状である。
よって当サイトは、以上のような疑問をもつ人々へ役立つようにできている。
当 HP がメインテーマとするのは、「歴史の全体像」というハードであり、「個々の歴史的事件」というソフトではない。
当サイトにおいては「一つひとつの歴史的事象」とは、あくまで「『歴史の流れ』という全体像のなかの一部」でしかない。それらが有機的に連関し、はじめて「歴史全体」となるのだ。
たとえば〈易姓革命〉や〈百年戦争〉といった単独の出来事については、その成り立ちや経緯が載っている書籍は、いくらでも見つけることができるだろう。
しかし当サイトがあつかうのは、〈易姓革命〉や〈百年戦争〉が歴史全体のなかでどういう意味をもつか、あるいはどのように現在の世の中に関係しているか、という点である。
したがって当サイトでは、人名、地名、事件名などについての細かな情報は、思い切って端折っている。
予備知識として知っておくべき情報は、中学 3 年生レベルを想定している。
なぜなら重要なことは論理でもって各事象を関連づけ、歴史全体の姿を明らかにすることだからだ。
そのため当サイトはその時代が生んだ、もしくはその時代を形容した格言や名言を冒頭に紹介し、そこから演繹するかたちでの叙述という形式をとっている。
なぜならそうした言葉は、事象の本質を的確かつ感覚的とらえているので、歴史的事柄を説明するにあたり、叩き台にはもってこいだからである。
筆者の知見があなたの歴史理解に少しでもお役に立てれば、幸甚である。
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